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こそけん所長コラム



new 5: お母さんを悩ます言葉〜抱き癖〜

「抱き癖がついて・・・」「抱き癖ってありますか」「抱き癖じゃあ・・・」と、必ず質問されますが、この言葉には悩まされます。
なぜなら「抱き癖」= 「悪い癖」と思われているからです。
広辞苑を開いてみました。
すると『いつも抱いてあやされている乳児につく、抱かないと泣きやまない、あるいは眠りつかない習癖』とあり、習癖は『くせ、ならわし』、癖は『偏った嗜好、習慣。いつもそうであること。欠点、非難すべきこと。ある状態になって、もとに戻しにくくなること。そういう傾向になること』とありました。やはり良い印象の言葉としては捉えてないことが分かります。

私の勝手な解釈ですが、泣く子が気になってしょうがない母親の姿を見て、先人が「そんなに慌てて抱かなくてもいいよ」ということを「抱いてばかりしていると癖になってしまう」という言葉で諭したのではないかと考えます。
子育てでは、このような間違って伝えられている言葉があるようです。それらに振り回されているところがありますね。

では「抱く」という行為について考えてみましょう。
さぁ「赤ちゃんの気持ち」になってみてください。
赤ちゃんは胎児の時は狭い子宮という袋に守られていました。生まれてからは広い世界に出て「不安」でいっぱいです。しかしお母さんの胸に抱かれると子宮の中と近い状態になって「安心」します。そして「ギューッと抱きしめるタッチング (強い皮膚接触)」は「心地よい、安心してここにいることができる」という気持ちを抱かせます。

これが悪いことでしょうか。

大人でも恐怖心や不安あるときに誰かに肩を抱いてもらったり身体をなでてもらったりすると、その恐怖や不安から一時的にでも逃れることができるでしょう。
言葉ではありません。
ギューッと抱きしめてもらうと誰も安心して心地よいと感じるのです。
それが赤ちゃんにだけ「抱き癖」と言うのは、やはりおかしいですね。「抱く」ことは癖になって困ることではなく、「抱く」って気持ちいいことですから・・・。

「子育ての第一歩」で紹介した小児科の仁志田先生の言葉を借りて
“『子育ての第一歩は、子どもにこの世の中に自分を一番愛してくれて大切にしてくれる人がいると安心させること』”
それが一番簡単に実行できるのは「抱きしめるータッチング」です。これをいつまでも忘れないでください。

(メディカルアイズに掲載)
http://www.medicals-i.com/columnist/54