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こそけん所長コラム



new7: 赤ちゃんのことば (泣き声)

日本では 2002 年 9 月に発売されたそうですが、「バウリンガル」というのは、みなさんご存じと思います。犬の鳴き声を人間の言葉に変換する器械です。これが世に出たとき、赤ちゃんの泣き声が言葉になったらと思ったおかあさんがきっといたはずです。
人間はスゴイですね。でも勝手ですね。
犬の気持ちを分かるために器械を作ってしまうという。私もペットの犬を飼っています。飼い初めの頃は、飼い方・しつけの仕方の本を買って一生懸命読みあさりました。
どの本も「愛情を持って接しましょう」「犬の気持ちについて」「子犬をむやみに叱ってはいじけた犬になる」など書いてあります。
その愛犬は 12 歳 (超大型犬ですので人間の年齢で 90 歳くらいです) で永眠しました。言葉にしなくても私たち家族の気持ちを察知する、大切な家族の一員でした。訓練に出すこともせず、家族みんなが愛情を注ぎ、一緒に過ごすうちに本当に心が通じ合うことができていたと思います。
今回のタイトルと関係ない ? 話のようですね。
でも赤ちゃんの泣き声と犬の鳴き声と何が違うのでしょうか。
そう、違いはないのです。
毎日その鳴き声を聞いているうちに何で泣いているのか分かってくるのです。赤ちゃんは言葉が話せませんが、泣くことで、お母さんやお父さんに甘えたり、教えたりしているのです。
「おしっこがでたよ〜」「お腹が空いたよ〜」「退屈だから遊んで〜」「眠たいよ〜」などと。

ここでみなさんに思い出してみてほしいことがあります。
みなさんは小さいとき、兄弟や友達を泣かして叱られたことがありませんか ? 自分が悪くなかったのに・・・。原因は何であれ、泣かした方が叱られる ! これが泣かしてはいけないという間違った認識をしたきっかけと思われます。
もう一つ、赤ちゃんが生まれた後、周りの人から「あら〜まだ泣いてるの、おっぱいなんじゃな〜い ? 」「あら、あら、泣かされたの、かわいそうに、よしよし」と赤ちゃんに話しかけられたことがありませんか ?
これがまた困ったことです。
お母さんに赤ちゃんは泣かしてはいけない、寝させるものだと言わんばかりのことなのです。そしてお母さんは赤ちゃんを泣かしてはいけないと追い込まれてしまいます。
ということで、もうお分かりでしょう。

赤ちゃんは泣いても構いません。言葉が話せないのだから、泣いて当たり前なのです。ちっとも焦ることはありません。「オムツが汚れているのかしら」「お腹が空いたのかしら」「退屈なのかしら」「寝られないのかしら」とあれこれ考えながら接していると、そのうちに「お腹が空いたのね〜」「あら甘え泣きね」「ご機嫌悪いわね」と泣き声を聞き分けることができるようになるのです。
但し、眠らせておくことばかり考えていると理解するのに時間を要します。だから少し泣き声を聞くということをしてください。そして、周囲の人も、まるでお母さんが泣かしているというような発言をしないで、温かく見守ってあげてください。

人間はロボットではありません。みんなが同じではありません。
バウリンガルの人間の赤ちゃん版が開発されることがないようにと祈りたいです。

(メディカルアイズに掲載)
http://www.medicals-i.com/columnist/54