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こそけんコラム
28. 子どもの成長の変化から

28. 子どもの成長の変化から

上野動物園元園長・中川志朗氏著の『パンダは舐めて子を育てる』の中に、デズモンド・モリスという動物学者が人間の成長過程を 3 段階に分け、新生児期から子宮外胎児期を「しっかり抱いて ! 」、幼児期から少年期を「下におろして ! 」、少年期から青年期を「ほっといて ! 」の時期だと言っている、とあります。今回は「下におろして ! 」の時期に注目してみます。

子どもは歩くようになると、おもちゃだけでなく興味のある身近な物や生き物に自分でかかわることができるようになり、その範囲は徐々に広がってきます。
「子どもが何かに夢中になっているからと、別の部屋で用事をしていたら自分を泣きながら捜していた」とか、「友だちと公園で遊んでいるのに、母親同士がおしゃべりしている所に何度もやってくる」などの経験があると思いますが、子どもは母親と離れて大丈夫なのか少しずつ確認しているのです。
それは母親も同じで、危険なことがないか、悪いことをしていないかなど何度も様子を見に行き、危ないことがあればすぐ飛んで行って抱きしめ、保護し、悪いことをしていれば規律を教える (しつけ) という具合です。

まず「しっかり抱いて ! 」の時期に母子のきずな (信頼感) が確立できていなければ「下におろして ! 」の時期に子どもは不安感から母親から離れられないか、または別の信頼できる人を求めてさまようのではないでしょうか。
また「下におろして ! 」の時期にきちんと見守ってやることができていなければ「ほっといて ! 」の時期に安心して放っておくことができないのだと思います。

中川氏は、人間は「しっかり抱いて ! 」の時期に突き離しておいて、「下におろして ! 」の時期になかなか下ろさず、「ほっといて ! 」の時期にべたべたするような感じがする、と言っておられます。
さて、あなたはどう思いますか ?