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こそけんコラム
15. 赤ちゃん返り②

15. 赤ちゃん返り②

“赤ちゃん返り”は妊娠や出産など生活の変化がはっきりしていると分かりやすいのですが、程度の差はあっても実は誰にでもあることなのです。
生後 16 〜 25 カ月を、マーラーの分離・個体化理論では再接近期といい、一時母親を離れて遊べた 幼児が、再び欲求不満に対する耐性を低下させ、母親代理を受け入れなくなる時期という説があり ます。これは、乳児期の母親への依存よりもう一段高度な心理的結び付きを求めてのことであり、母親の 愛情と承認を強烈に求め、満たされないと見捨てられる不安に駆られ、深く傷付くといわれています。

母乳育児の話をするとき、母乳は主に栄養としてあげるのは生後 9 カ月くらいまでで、それ以降は “精神安定剤”としての役割があると話すことがあります。実は再接近期は、母乳をやめようと考える時期と微妙に重なります。そう考えているお母さんには 「母乳をやめれば楽になると思わないでください。母乳をやめれば、つまり精神安定剤が無くなる のだから、今以上に一緒に遊び、相手をしてあげましょう」と説明します。
だんだん言葉も分かってくるので、言葉で理解させようとしがちですが、ここでも“タッチング”が とても有効になります。「おっぱいはバイバイしたけど、ママはいなくならないよ」と抱き締めて あげてください。

再接近期を過ぎてしまって、子どもを不安にさせてしまったかしら、と後悔しているお母さん、その気付きがこれからの子育てに役立つでしょう。遅くはありません。わが子を「大好きだよ」と しっかり抱き締めてあげてください。