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こそけんコラム
new21: 親は無免許運転

new21: 親は無免許運転

躾 (しつけ) とは漢字の部首で分かる通り「身を美しく」という意味です。広辞苑によると、礼儀作法を身に付けるということとありますが、幼児期のしつけは日常生活の基本的行動 のことをいいます。

基本的行動とは、摂食・排せつ・衣服の着脱・睡眠などです。
自分の子育てを振り返ってみると、わが子の「しつけ」は失敗しながら、悩みながらやってきたと思います。それはなぜでしょうか。
「親は無免許運転 (平川洋児語録より)」だからです。
誰もがそうです。親になって良いという線引きは何もなく、誰かに教えてもらって許可を得て親になるわけでもありません。「親がして見せていることは手本ではなく見本である (平川洋児語録 より)」といわれるように、完璧な親など存在しないのです。それなのに子どもに理想や完璧を求めるがあまりに、親は悩み苦しみ、ときには感情的になってしまうのでしょう。

また「母親たちが苦労するのは、昔のように祖母から母へ、母から娘へと子育てのコツ・ノウハウが 伝授されていないから」(信千秋著「甘えのルール」より) といわれて、久しくなります。最近では、いわゆる子育てのコツなどはテキスト化され、自然と身につくというより、学ぶように変化していると感じています。文明の進化により、それらの情報は得やすくはなりましたが、実際は過剰・多様のため選択できずに迷っているのではないでしょうか。人間はロボットではありませんから、個性があり個人差があります。また生活環境も違うので、身近な人からの自然な形で伝わる方が、断然楽ちんだと思います。

親には免許はありませんが経験があります。身近な先輩ママ・パパに経験を聞いてみることです。特に失敗談を聞くと「そうか完璧な親はいないんだ」と気持ちが楽になるでしょう。
『成長の法則』という本に、「失敗せずにできるようなことはたいしたことではない。周囲に迷惑をかけない限り、失敗は決して悪いことではないし、恥じることでもない。失敗は成功への道の一部なのだ」とあります。育児をしている母親、父親にもいえることであり、成長する子どもにもいえることではないでしょうか。
最初から完璧にできる育児はなく、「育児は育自」ともいうように、親は子どもを通して親として成長していくものです。親も子も失敗を経験して、それから学ぶことで更に成長すると思います。「失敗を経験しないで成長するのは、たいした成長ではない」とは、なかなか的を射ていると思います。

そして、親として忘れてはいけないのは、わが子に「あなたが大切、あなたを一番愛しているよ」とメッセージを送り続けることですね。

(メディカルアイズに掲載)
http://www.medicals-i.com/article/301