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こそけんコラム
new 8: 周囲の協力

new 8: 周囲の協力

今回は親が育児に悩みながら日々奮闘している中で、周囲はどのように協力すればよいのかを考えてみたいと思います。

どの時代も「最近のお母さんは・・・」と言われたものです。
いま子育て真っ最中の親も、その親、またその親も無免許運転で子育てしていたのです。決して「一人で立派に子育てした ! 」とは言えません。周囲の協力があってできたことです。私もそうでした。

そこでまず祖父母の対応についてです。
「自分が孫をみる (育てる) から仕事に精を出しなさい」「あなたたちは仕事があるから夜も自分が孫をみる」というのも困ります。状況により例外もありますが、親は親、祖父母は祖父母の役割があります。
育児のすべてを祖父母が奪ってしまうと、親は自覚 (子どもへの愛着) を失って子育てできなくなってしまいます。
逆に「あなたたちの子どもなのだから自分で育てなさい」と突き放すような非協力も困ります。
祖父母の役割は「見守って困ったときに手を差し伸べる」を基本にお願いしたいです。

最近の祖父母世代は、まだ就業中あるいは退職していても「やっと自分の自由な時間ができた」と楽しんでいらっしゃる方も多いようです。
また出産年齢層の幅が広がり、祖父母も若い方からかなりご高齢の方までいらっしゃいます。頼りたいけど実家は遠方ということもあるでしょう。
このような場合は、行政や地域の子育て支援が頼りになります。

とはいえ、相談できる祖父母の存在は、時には衝突しても、子育てを終えてみるととてもありがたいものだったと感じます。体力的な協力は難しくても、是非、祖父母あるいは曾祖父母の「子育てノウハウ」を言葉で伝えて欲しいと思います。

さて協力は祖父母だけではありません。地域で子育て中の親を支援することもとても大切です。でも難しい側面や、限界があるようです。
では、なぜ行政が子育て支援に関わらなければならなくなったのでしょうか。

それは時代のさまざまな変化が関係するでしょうが、一番は地域の結びつきが希薄になったためだと思います。
個人主義といわれて久しくなりますが、他人に無関心を装い、悪いときに「いけない ! 」と叱ってくれるおじちゃん・おばちゃんが少なくなりました。
口を出せば生命を脅かされるような怖いニュースも見聞きします。陰で言えても、面と向かって注意することができない世の中になってしまっています。

このような大人 (親) の対応や人間関係が、子どもの人間関係形成にも影響を及ぼしているのではないかと感じます。

今、子育て中の親にも、子どもにも、地域のおじちゃん・おばちゃんの言葉掛けが一番必要なのではないでしょうか。
声を掛けられ最初は嫌な顔、意外な顔をする人もいるでしょう。それは今まで孤独な環境で育児をしていた人なら当たり前の反応だと、大目に見てあげてください。繰り返すうちに心が和らぎ、優しい顔のお母さん・お父さんに変化するはずです。
そしてそれが子どもに良い影響を与えると思います。

子育てを一段落したおじちゃん・おばちゃん、子育て中の親への言葉掛けをもっと積極的にしませんか。未来を担う大切な子どもたちを育てている親を地域全体で支えましょう。
さあ、今日出合った子連れのお母さんへ「こんにちは」と声を掛けることから始めませんか。

(メディカルアイズに掲載)
http://www.medicals-i.com/columnist/54