ウィメンズパークに連載中の「助産師の部屋」が更新されています。
http://blog.benesse.ne.jp/health/nurse/2014/02/
今月は「産後の過ごし方・育児のはなし」です。
今回は「母乳育児」ですね。
マザリーも母乳育児 (母乳哺育) を推進しています。
「赤ちゃんにやさしい病院 (BFH 認定施設)」は取得していませんが・・・。
当院の方針については「マザリー教本」を参考にしてくださいね。
開院当初よりずっと、母乳をあげることは「自然で当たり前のこと」という視点でいます。
それは、人間は哺乳類ですから、他の哺乳動物と同じで母乳で育てる生き物だからです。
ただ、自然界には 5 〜 10% くらいは自然淘汰されると言われていますので、それは医療介入が必要になるでしょう。
そして正規分布において中心から外れていく (前後約 10%) こともあります。その場合は、完全母乳になるまで、あるいは母乳を続ける上では、何らかのケアやミルク支援が必要になるのだと考えます。
開院してから今日までで、いろいろと考えさせられることがありました。
「ずっと側にいてあげられたら続けられるかもしれないけれど・・・」
「母乳のことだけでいっぱいいっぱいで赤ちゃんを見ていないのではないか・・・」
そして育児の一つの要素として母乳哺育という考えのもと、お母さんが「自分のお乳を自然体であげられること、育児が楽にできること」という考えに至りました。
もちろん母乳が一番であり、ミルクを安易に与えているわけではありません。
場合によっては、完全母乳でなくても我が子にお乳を吸わせたことが母乳哺育なんだよと、母親に自信をもたせることも必要だと感じます。
人間は賢いですから、数字を見たら数字で判断してしまいます。
第一子でミルクをあげたお母さんは、母乳が出ていても足りているかどうか不安になるようです。
そのような方には「母乳で十分足りているけれど、不安でしょうがなかったら 1 回だけミルクを足してもいいですよ。でも足りていないと思って足さないでくださいね。お守りです。お母さんの安心感のために」と・・・。
そうすると以外と気持ちが楽になって、足さなくても大丈夫なようです。ミルクは毒ではありませんから、使いようですね。
そして母乳はメモリがありませんので、我が子が飲んだのかどうかの判断は経験しかありません。
毎日、毎回のお乳の様子や赤ちゃんの様子から、やがて判断できるようになってくるのです。
だからマザリーでは毎回の哺乳量は測定しません。
スタッフは、お母さんのおっぱいの様子と赤ちゃんの体重の変化や排泄状態、授乳の様子などで、日々どのようなケアが必要なのかを考えています。
入院中は一日毎、また数時間毎で、ケア・支援の方法が変わってくることがあります。
本来は、赤ちゃんが生きるために自分でお乳を飲むのですが、人間は他の哺乳動物より少し支援が必要になってしまったということでしょうか。
でも、時には赤ちゃん任せにした方が上手くいくということもあります。

以前、ネットからフリー素材の写真をダウンロードした中の一枚です。
白クマの赤ちゃんがお母さんのおっぱいを吸っているところです d(^-^) ネ !
当たり前のことですが、お母さんも、お乳の形も、お乳の出方もケアの方法も、また赤ちゃんも、それぞれが違います。そして生活の様子 (背景) も違うので、そのお母さんにあった支援が必要なのです。
授乳は、赤ちゃんにとって生きるための食べ物をもらうことであり、心 (お母さんの気持ち) を受け止める時間なのだと思います。
お母さんがあげる、ど〜んなおっぱいでも「大丈夫よ、美味しいおっぱいよ、安心して飲んでね」と、ゆったりとした環境であげることが一番です。
そしてお母さんと赤ちゃんにとって、抱いて (抱かれて) 笑顔での授乳は、しあわせを感じるとても大切な時間ではないでしょうか。
※「ど〜んなおっぱい」とは : 張っているおっぱいでも、よく「まずい」といわれているおっぱいでも、乳腺炎になってしまったおっぱいでも、ミルクでも・・・。